夢〜明日への奇跡〜(実話)
滝沢麗奈(28)
祖父との約束をしたのが今から16年前。私が12歳 中学2年の冬だった。祖父は明るくて優しくて誰からも好かれる 仕事熱心な人だった。私の性格は祖父から遺伝したんだろう。そっくりだと祖父を知る者は、そう言う。私が初孫だったせいか、親戚みんなが揃うと決まってみな同じ台詞を口にする。

『れいちゃんが可愛いくて目に入れても痛くない』

と 私の写真を持ち歩き近所の人達に言ってたらしい。
私も小さいながら祖父との想い出ははっきり覚えてる。共働きだった両親に代わり いつも保育園に迎えに来ては 公園で私の気のすむまで 遊んでくれた。

シワシワになった厚い手の温もりを今でも覚えてる。

【癌】という病気さえならなければ。。と思いどれだけ癌を憎くんだことか…

祖父が亡くなっった日担当医に

『じーちゃんを返して。治してくれるって約束したのに!嘘つき!』

と泣き叫んだ。
中学になり父とは会話するのも避けるようになっていたのに祖父には何でも話せた。
学校の事、
友達の事、
素直に言えた。泊まりに行くと同じ布団で寝るのは当たり前だった。
祖父は私にとって

親友でもあり
恋人だったのかもしれない。。


まさか…
2度も最愛の人を失うことになるとは この時はまだ知るよしもなかった。
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