夢〜明日への奇跡〜(実話)
『滝沢さん…初めてですので問診表を書いてくださいね』

優しいオルゴールの音楽に可愛いぬいぐるみ。
どことなく聞こえてくる
可愛いらしい赤ちゃんの泣き声…。
いかにも若そうな夫婦や
お腹の大きな妊婦さん達が幸せそうに待合室に座っていた。

新しい命が生まれてくる場所…だもんな…

『滝沢さん、まず尿検査しますのでトイレに行かれて置いてあるカップに尿をだしてきて下さいね』

『分かりました』

初めての産婦人科に戸惑いながらも言われた通りに検査を終わらせた。

『滝沢さん…先生のお話がありますので7番のお部屋にどうぞ』

私はドキドキして震えが止まらなかった…

『おめでとうございます。妊娠8周目に入ってますねまだ独身ですよね?どうされますか?彼氏さんは今日は一緒じゃないの?』

『妊娠してるんですか…』
『はい。そうですよ!後で内診もしてみましょう』

…信じられない…

たった一夜の…
しかもあんな形で抱かれて
私は嬉しいのと不安でいっぱいだった。


私…生みたい…

シングルマザーでもいい。
愛する和実の子供だもん。この子はもう立派に生きてるんだから…


内診ではっきり見えた小さな命…
一生懸命生きていた。

ママ頑張るから…
あなたの為に生きるからね
私は自分のお腹をさすりながら何度も言った。

『次の受診の時は心音を確認しますからね。よく彼氏さんと話し合って来てくださいね』

『わかりました…』

じーちゃん…
私ママだよ。
こんなんでいいのかな…
どうすればいいの?
教えて… お願い…

私産みたいよ…。

賛成してくれるよね…。


小さな我が子の写真を見ながら改めて自分が親であることを実感した。
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