夢〜明日への奇跡〜(実話)
最後の勤めを終え 終礼は私のお別れ会だった。


『滝沢、本当お疲れ様でした。仕事熱心で真っすぐで苑になくてはならない存在だった…の…に…ぅっ』


『ちょっと主任!泣くのが早いって!最後まで話さないと乾杯できないよ(笑)ジュースだけどね』


祥子が主任に笑いながら言った。

『皆さん本当にありがとうございました。みんなと仲間としてここで働けたことが何よりの誇りです』

私は8年間の思い出が
走馬灯のように駆け巡った。
入社したての頃 名前間違えて送迎に行った事

利用者さんとのコミュニケーションに悩んだ事

入浴介助中私が浴槽に落ちた事

季節遠足で私が迷子になった事

職員と意見が合わずに明け方までミーティングした事

誕生会
運動会
夏祭り
敬老会

沢山楽しかった事。。
嬉しいかった事
悲しいかった事


沢山この苑で想い出をもらった。


『滝沢!みんなからの退職&出産祝い!まだ早いけど(笑)』

源太が言った。

『えっ…開けていいの?何かな…』

それは…大好きなキティちゃんのベビー用の真っ白なドレスだった…。
ティアラまで…。

『絶対女の子のような気がするもん!赤ちゃん生まれた絶対このドレス着させてよっ!けど男の子だったらどーしよ(笑)』

祥子が私のお腹をさすりながら言った。

『みんな…ありがとう。私絶対女の子産むからね』

『あと…俺から…特別にあります』

『源太から?…またろくでもないやつなんでしょー』

『…んなこと言うとやんねーぞ』

『わぁ〜!可愛い…でも前にこのキティちゃんのストラップ貰ったよね』

『馬鹿!よく見ろよ!』

『誕生石がルビーだ…和実の誕生月…よく知ってたね…きっと喜ぶよ…源太ありがとう』

『手術絶対成功しなきゃ源ちゃんパンチくらわすぞっって言っとけや』

『それはオペするドクターに言う言葉じゃん(笑)』
みんな…ありがとう。

和実…こんなに私達 祝福されてるよ。

がんばろうねっ…。


そう信じてた。。
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