夢〜明日への奇跡〜(実話)
トントン…

『和実!麗奈姫と夢花姫が来たよ!嬉しいでしょ?』
『お〜愛しい麗奈・夢花〜!会いたかった』

相変わらず元気な和実だった。
夢花の写真を見せると
キスして離さなかった。

『麗奈…俺…夢花をこの手で抱けるよな…オムツ変えたりお風呂入れたり…出来るよな?』

和実の言葉に一瞬ドキッとした。

『何を言ってるのよ!当たり前でしょ…胃の腫瘍は全部取り除いたって先生も言ってたでしょ』

『そうだよな…何か急に不安になるんだよ。明日には死んでるんじゃないかってな。目が覚めると今日も生きてたってホッとするんだ。夢花に会えるまであと4ヶ月だもんな…長いな…』

私は涙目で話す和実の顔をまともに見れなかった。
作り笑いすることが精一杯だった。

『夢花…パパは弱虫になっちゃったよ』

『夢花嘘だぞ!ママの言う事、真に受けるなよ(笑)早く生まれてこいよな〜俺の可愛いベイビーちゃん』

和実はずっとお腹をさすり夢花に話しかけていた。

私は売店に行くと言って病室を出た。
作り笑いの限界だった。


1番弱虫なのはママだね。

和実…嘘ついてごめんね。
< 92 / 122 >

この作品をシェア

pagetop