夢〜明日への奇跡〜(実話)
私は売店で買い物をし涙を拭いて病室に戻った。

そこには点滴に繋がれたままスーツに身を包んだ和実がいた。

『和…実…。どうしたの?スーツなんか着て…。だいたいどうやって着替えたのよ』


『麗奈…夢花…俺は今はこんな体だけど必ず治して幸せにするから…俺と結婚してくれ…』

和実は照れながらも真っ直ぐに私を見てプロポーズしてくれた。

せっかく涙を拭いたのに
また涙が止まらなかった。
私はあまりの急な出来事に売店で買った果物の袋を床に落としてしまった。

そして…和実に抱き着いた。
『和実…ありがとう。私最高の妻になるから…。和実にいつまでも愛される妻に…』

『そのままの麗奈でいてくれ。ただ俺のそばで笑っててくれれば充分だから…麗奈愛してるよ』

和実は私に優しくキスをした。
誓いのキス…。
和実の温もりを肌で感じた

そして夢花にも和実は
誓いのキスをした。

そして机の中から箱を取り出した。

『これ…麗奈に。たいしたものじゃないけどな』

『開けていい?』

私はゆっくり開けてみた。箱の中身は指輪だった。
ピンクサファイアがキラキラ輝いていた。

『こんな高い指輪…どうしたの?いつ用意してたの?』

『麗奈の家に呼ばれた3ヶ月記念日の日に渡すつもりだったんだ。俺には麗奈が本当に必要だと思ったからでもその日病気の事を知って何もかも嫌になって指輪を自分の部屋に投げつけたんだ。そしたらこの間妹が綺麗に包装して持ってきてくれてさ…渡さないと後悔するよってガキのくせに偉そうに言いやがってよ』

『そうだったんだ…この紙袋は何?』

その中身は婚姻届けだった。
『もうすぐ麗奈の誕生日だろ。その日に提出しよう。結婚式も今すぐには出来ないし夢花もできちゃって順序がめちゃめちゃなっちまったけどごめんな…麗奈の両親に申し訳ないよ。夢花ができたから結婚するんじゃないからな。お前の誕生日にあの夜景の場所でプロポーズしようって決めてたんだ』

私はもう涙で婚姻届けもまともに見れなかった。

今まで生きてきた中で1番幸せだった。

私は指輪を左手ではなく
右手にはめた。
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