夢〜明日への奇跡〜(実話)
和実は余命2ヶ月を宣告かれ奇跡的に乗り越えたものの和実は日がたつにつれ
痩せていき 手足の浮腫も目立ってきた。


この日も検診を終え夢花の写真を片手に病室へ向かった。

病室の前に来た時 茶碗の投げる音と珍しく罵声をあげる和実の声がした。

『飯なんか食えねーよ!もう治療なんかしても無駄なんだよ!どうせ俺は死ぬんだろ。皆で嘘ばっかりいいやがって』

『和実!いい加減にしなさい!夢花に笑われるわよ』
『お袋も俺なんか生まなきゃこんな苦労しなくてすんだのにな!何が夢花だよ!俺は夢花には会えねーんだよ』

…別人の和実だった。

そういえば じーちゃんも 1度だけ 体が思うようにならない 苛立ちから箸をおばあちゃんに投げ付けた事があったって聞いた事がある…。
あの時が1番辛かったっておばあちゃん言ってたなぁ
こんな時 何て言ってあげたら和実は楽になるんだろ…。

私は勇気を出して部屋に入った。
そこには ぐちゃぐちゃになった食事や点滴も勝手に抜き取り 夢花の写真も私の写真も倒されていた。

『和実!しっかりしてよ!夢花の父親は和実しかいないんだよ!生まなきゃ良かったなんてお母さんに謝りなさいよ』

『麗奈さん私の事ならいいのよ。それより看護師さんを早く呼んできてくれる?点滴外しちゃったから』

和実のお母さんは泣きながら散らばった食事を片付けていた。

私は看護師を呼び 暴れ狂う和実を必死で押さえて 点滴を打ち直してもらい部屋を片付けてもらった。
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