夢〜明日への奇跡〜(実話)
『和実今は辛いかもしれないけど必ず治るよ!だから一緒に頑張ろうよ!夢花にももうすぐ会えるんだよ』
私は外ばかり見ている和実の手を握り そう言った。


『お前まで俺を騙すんだな!』

『騙すなんて…そんな言い方しないでよ!』

『じゃあ何で痛みが止まらないんだよ!本当は腫瘍が広がってて死ぬのを待ってるだけじゃねーのか』

『和実!いい加減にしてよ夢花に聞こえるでしょ』

『何かあれば夢花夢花って言って…離婚してあげてもいいんだぜ!同情で結婚してくれたんだろ?』

『和実…本気でそんな馬鹿げたこと言ってるの?』

『ふん…馬鹿げた事?馬鹿にしてるのはお前らじゃねーのか?本気だよ!どうせ夢花になんか会えねーのに生まれてきても父親は死んでしまっていないなんて夢花もかわいそうだな…本当に俺の子供なのか?あの元気の源ちゃんとか言う奴の子供なんじゃねーの?』

私はこらえきれなかった。【俺の子供なのか…】
この言葉に頭にきて
おもいっきり 和実の頬をひっぱたいた。

『和実…最低よ!意気地無しの弱虫!父親失格だわ』
私は泣きながら病室を出た

…もう嫌…

どうしてこんな辛い思いしなきゃいけないの…

あんな有り得もしない事
言われなきゃいけないのよ

結婚なんかしなければよかった。

夢花を生むなんて言わなければよかった。



私はこの時だけ
後悔した。


夢花…ごめんね
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