夏と海~summer and sea~
「有沢、お前野球好きなんだよな??」
神崎先生のいきなりの質問に少し驚いたが、素直に「はい」と答えた。
「もとソフト部ってことはそこそこ野球もできるわけだ。」
「はい。でも、野球ボールで練習したことがないので…。
ルールや基礎くらいしかできませんけど…。」
野球とソフトではボールの大きさが明らかに違う。
前に野球ボールを投げると重さや大きさがあまりに違いすぎ、力の加減がわからず…変なところへ飛んでいった。
「黒崎先生。どうです??」
黒崎先生と呼ばれた男性教師は、私を観察しだした。
「女にしては随分筋肉質な身体だな。」
「あ、はい…。父に似たみたいで。」
「運動神経はいいだろ??」
「そこそこです。」
黒崎先生はニッと笑い、「決めた。」と言った。
その言葉を聞き、神崎の表情が和らいだ。
かなり嬉しそうな顔をしている。