夏と海~summer and sea~



「有沢、お前野球好きなんだよな??」


神崎先生のいきなりの質問に少し驚いたが、素直に「はい」と答えた。


「もとソフト部ってことはそこそこ野球もできるわけだ。」


「はい。でも、野球ボールで練習したことがないので…。
ルールや基礎くらいしかできませんけど…。」


野球とソフトではボールの大きさが明らかに違う。
前に野球ボールを投げると重さや大きさがあまりに違いすぎ、力の加減がわからず…変なところへ飛んでいった。


「黒崎先生。どうです??」


黒崎先生と呼ばれた男性教師は、私を観察しだした。


「女にしては随分筋肉質な身体だな。」


「あ、はい…。父に似たみたいで。」


「運動神経はいいだろ??」


「そこそこです。」


黒崎先生はニッと笑い、「決めた。」と言った。

その言葉を聞き、神崎の表情が和らいだ。
かなり嬉しそうな顔をしている。



< 6 / 28 >

この作品をシェア

pagetop