アリス図書館‡QUEEN



ー♪ー♪ー♪♪



笛の・・・音?


苦しみの中、オカリナと似た笛の音が聴こえてきた。



ーッ!?



ふと、自身の首にあった圧迫感が無くなった。


俯せに座り込み激しく咳込みながらも、何があったのかと本に目をやる。



「何・・・一体・・・」




床の上で、バサバサと音をたてながら本が暴れている。


まるで今だ響いている、笛の音に苦しんでいるかのようだ。




ーぐっ・・・ガ・・・ぁ、リス・・・め・・・



アリス!?


本は苦しそうに言うと、フッその場から消えた。

その光景に、美麗は茫然としていた。




「消えた・・・」



「美麗」



「!!憂・・・?」




部屋の入口に、オカリナによく似た笛を持った憂が立っていた。



「・・・こんな夜中に、どうしたの?」




美麗が問い掛けたが、憂は答えない。

訝しげに美麗が見ていると、口を開いた。



「・・・私、今までお母さんがいなくて寂しいと思ったことなんて、一度もなかった」



「?」



話が見えない美麗は眉を寄せた。

それに構わず、憂いは続ける。




「お父さんや、お姉ちゃんがいたから、全然寂しくなんかなかった」



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