アリス図書館‡QUEEN



佐崎邸から少し離れたビルの屋上のフェンスに座る人影。




「フフッ。己の人生を狂わせた相手を助けるなんてね。
やっぱり人間ってわからない・・・だけど、そこがまた面白いわ。

ねぇ、貴方もそう思わない?」




円を描くように手を動かすと、そこには銀色の鳥かごが現れた。

中には美麗が持ち去っていたあの本が。



「欲に溺れ、禁である黒魔術に手を出し本へと閉じ込められた魔女。
貴方も懲りないわね。またこんな事をして」




ーァ・・・リ、ス・・・
貴様ノセイデ、ワタシハ・・・



その台詞にアリスはフッと笑う。


「だって、貴方を大人しくさせることが、あの国の人々の願いだったもの。
・・・その後も人を襲っていた貴方を引き取ったのは、誤算だったみたいだけど」


遠い昔の事を思い出すかの様に目を細めたアリス。




ーオマエ、ノ、セイデ・・・ワタシハ・・・ジユウヲウシナッタ・・・



「黒魔術に手を出した時点で、貴方は自由を手放していたわ」




ー・・・ユルサナイ・・・・・・・・・ユルサナイッ!!



本から黒い靄がズズッと出て来たかとおもうと、バッとアリスに飛び掛かった。



バチィッ!!




ー!?ナ・・・



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