アリス図書館‡QUEEN



しかし、檻に触れた途端弾かれ外には出られなかった。


その様子にアリスはくすっと笑った。




「この籠、貴方の大っ嫌いな砂糖で出来てるの。
その中から貴方は出ることは出来ないわ」



−クッ・・・キサマ・・・




「貴方・・・もういらないわ」




アリスはそう言うと籠をパッと手放した。



−パチンッ




アリスが指を鳴らすと、ずっと下の方で暗闇の中、オレンジ色の光りが灯った。






−キイイィ



アリスの背後で扉が開く音がした。




「アリスさん・・・」



そこから現れたのは憂だった。
手には先程の笛が。




「・・・ありがとうございました。美麗の事、助けてくれて・・・」



「助けた覚えはないわ。貴女の願いを叶えただけよ」



フェンスから下りずに空に浮かぶ月を見つめながら返答したアリス。



「それじゃあ、貴女の代償だけど」




−パチンッ



「きゅー」




「きゃあっ!?」




憂へと飛びついたのは可愛らしいカワウソのような生き物。


それは図書館でアリスを襲った鎌鼬だった。




「それ、引き取ってちょうだい。それだけ」



「え?」



「あ、食べ物はなんでも食べるから。よろしく」



「あの・・・」




勝手に話を進めるアリスに困惑する憂。



「早く帰りなさい。引き取り人が来ちゃうから」



「引き取り人?」




相変わらず月を見つめたままのアリス。

その時、ハァとアリスが溜息をはいた。



「ほら、来ちゃったじゃない」



「えッ・・・」




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