アリス図書館‡QUEEN
神菜が屋上から落ちて、唯香が動けずにいるなか、〝真樹〟は上半身だけを下へと覗かせた。
「・・・アララ。下はコンクリートではなかったのね」
そう、すごく残念そうに呟くと、消えた。
あまりの出来事に唯香はボー然と立っていた。
「唯香・・・?」
「っ!あ、・・・お姉?」
呼ばれてハッとした唯香は、背後から階段を上ってきた真樹を見て一歩下がった。
本物か、偽物か・・・
「ねぇ・・・神菜、知らない?此処にいるって・・・」
今にも泣き出しそうな、視線を漂わせながら弱々しく唯香に尋ねる真樹。
その様子に、唯香は本物だと確信した。
「あっ・・・」
唯香が口を開いた時だった―――
ーバタバタバタッ
「いたぞっ!!」
「捕まえろ!」
またしても階段を駆け上がって来たのはスーツを来た男性の数人。
何事かと真樹が振り向くと同時に、一人の男が真樹の腕を掴んだ。
「いっ!」
「ちょっと、署までご同行願います」
「な、何なんですかあなたたち!?」
唯香が真樹を連れていこうとした男の肩を掴んだ。