アリス図書館‡QUEEN
アリスに言われて玄関ホールへと来ると、今だに扉は叩かれていた。
扉の前まで来たイオンがステンドグラスの部分を見ると、二つの人影があった。
「・・・どなたでしょうか?」
『警察の者ですが、ちょっと話を伺えますか?』
男の声が扉越しに聴こえた。
イオンは少し考えると、今開けますと答えた。
−ガチャ・・・
扉の前にいたのは、三十代半ばのカッコイイ部類に入るであろう男と、二十代前半の長身の彫りの深い男が立っていた。
「どうも、こんにちは。
私、七瀬と申します。こっちは飯田です」
三十代半ばの男-七瀬が警察手帳を見せながら名乗り、隣の男-飯田も見せながら軽く頭を下げた。
「こんにちは。それで、警察の方がどのような用件で?」
人の良い笑顔を浮かべながらイオンは尋ねる。
「・・・此処に、若い金髪ロングの女性がいませんか?」
ジッと探るようにイオンを見ながら七瀬は聞いた。
イオンは少しの間、反応を示さなかったが直ぐにニコッと笑った。
「ハイ。アリスお嬢様なら、此処にご在宅ですよ。何か・・・ご用でも?」
「ええ、ちょっと話を聴きたくて・・・」
七瀬は答えながら飯田と目を合わせた。
アッサリと認めたのに不思議に思ったのだろうか。
「でしたら、此処ではなんですし、談話室へとご案内します。こちらへ」
相変わらず笑顔を浮かべたままイオンは言うと、体を横にずらし二人が通れるようにした。
「・・・失礼します」
二人は少し迷い、軽く頭を下げて館内へと足を踏み入れた。