アリス図書館‡QUEEN
そこに現れたのは、確かにイオンとアリスだった。
しかし、アリスはいつもと雰囲気も見た目も違う。
「こんにちは。このような姿で、申し訳ありません」
眉を下げて本当に申し訳なさそうに言ったアリス。
アリスは、車椅子に座って現れたのだ。
「アリスお嬢様は幼い頃からお体が弱く、お一人で歩かせるのは無理があるのです」
言いながらイオンはアリスをテーブルを挟んだ二人の前に移動させた。
よくみると服装も変わっている。
清楚な感じの、いかにもお嬢様という服になっていた。
アリスが前にきたのを見ると、七瀬は警察手帳をアリスに見せた。
「どうも、警察署の七瀬と言います。こっちは飯田です」
「ど、どうも・・・」
少し赤くなりながら言った飯田を見て、七瀬は呆れたように小さく溜息を出した。
「私はアリス=ミューベルと申します。こちらは私の身の回りの世話をしてもらっている・・・」
「イオン=マクリエルです」
アリスが視線を向けるとアリスの言葉を継いでイオンが胸に手を当てて礼をした。
「お二人はハーフか何かですか?それとも・・・」
「イギリスのロンドン出身です。イオンの方は、母方が日本人、父方がフランス人です」
七瀬が聞くと、アリスは丁寧に答えた。
「こちらへは何故?」
飯田が聞く。
「私日本が大好きで、よくイオンに話を色々聞いたりしていたんです。
それで、両親に無理を言って日本にいた曾祖母の所に住まわせてもらったんです」
「しかし、お嬢様お一人では危ないので、旦那様の命令で私もついて来たという訳です」
アリスの説明に補足するかのようにイオンが言った。