アリス図書館‡QUEEN



七瀬と飯田は、アリスが何か言うのを待った。


やがて、アリスは写真から目を外し、二人に向かってニコッと笑った。




「いえ、違います。私ではございません」





飯田がしたようにスッと七瀬の元へとスライドさせた。



「・・・そうですか。ちなみに、この時間何処で何をしていらっしゃいましたか?」




写真の隅に記された日付と時刻を指差しながら七瀬が聞いた。



「・・・その日はクリスマスイブだったでしょう?父様と母様と会社の方々とクリスマスパーティーを・・・」




「そうですか・・・」





それを聞くと飯田は写真を胸ポケットに仕舞った。



「そうそう、金倉家強盗殺人事件・・・こちらの事件もご存知でしょうか」




「ええ。先月あった・・・確か、父親の方は警察の方でしたよね?」




「はい・・・その日は、何処で何を?」




「・・・その日は、図書館で本を読んでました」




「何処の?」




「此処です。此処、図書館なんですよ」



ほぉ・・・と関心したように七瀬が言った。




「それは凄いですね。管理は・・・」



「イオンです。司書は私が行っております。
・・・七瀬さん、私のことをお疑いで?」




怒るでもなく哀しむでもなく、微笑みながらアリスは聞いた。



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