アリス図書館‡QUEEN
−コンコン
「入れ」
扉のノック音に七瀬が答えると一人の婦警が入って来た。
「七瀬さん、鑑識科の方がお呼びですよ」
「ん、わかった」
軽く頭を下げると婦警は出て行った。
「さてと、行ってくるか」
「俺も行きますよ」
「お前邪魔しかしねぇだろ」
「そんなことありませんよ!」
部屋を出て廊下を歩いていく二人の後をついていくエインセル。
その時向かいの方から一人の少女が歩いてきた。
機嫌でも悪いのか足並み荒く俯き加減でコチラへと来る。
七瀬と飯田は少女の存在に気付いたが少女は気付かず真っ直ぐに来る。
−ドン
「キャッ」
「っと、悪ぃ」
七瀬とぶつかった少女はこけそうになったが七瀬が慌てて支えた。
「ご、ごめんなさい」
「あ、オイ・・・」
少女は頭を下げると速足にその場を去った。
「なんだ?急いでたのか?」
「さぁ?」
少女の態度に不思議そうにしている二人に対してエインセルは瞳を鋭くさせて後ろ姿を見ていた。
(あの娘・・・もう私の仕事も終わったし、いいよね)
エインセルは七瀬と飯田を見やるとその場を飛び去った。