アリス図書館‡QUEEN


飛び去ったエインセルがやって来た場所は、先程七瀬とぶつかった少女の家。



(此処じゃ・・・ない)




スゥ、と少女の部屋を出ると、今度は向かいにあった部屋へと入った。


そしてゆっくりと部屋の中を見渡すエインセルは、棚の上にあったモノを見てビクリとした。




「あれは・・・」




その棚の上にあったモノは、愛らしく美しいフランス人形。


だが、暗がりの中月明かりが照らす人形は何だろうと不気味に思える。




「・・・アリスに知らせなきゃ・・・」




−アリスに知らせるの・・・?




「!!」





その場を去ろうとしたエインセルだったが、部屋に響いた子供らしい、しかし落ち着いた声にとまった。




−アリスに会えるの・・・?




「・・・会わせるわけ、ないでしょ?あんたなんかに」




エインセルは人形へと睨みつけながら答えた。


この声の主は、人形なのだろうか・・・。




−なんで・・・?
わたし・・・アリスに会い たい・・・




「会わせない。答えは変わらないわ。そんなことより、どうしてあんたがいるの」




−・・・・・・・・・




「都合の悪いことは相変わらずだんまりだね・・・」





エインセルは苦々しげに呟くと今度こそその場を去った。



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