アリス図書館‡QUEEN
Ⅲ
―†図書館†―
「最近、ストーカーの被害が相次いでいますね」
「・・・それが?」
天井まで届くくらい高い本棚の間で暇潰しに本を読んでいたアリス。
そこへやってきたイオンが唐突に言ってきた話題に、アリスは本から視線を上げることなく返事をした。
「連日ニュースで取り上げられておりますよね」
「・・・そうね」
何なんだ急に、コイツは何考えてんだ。
とか思いながら相槌をうつアリス。
「ストーカー被害の大半が未然に防げず、殺されているケースもあるそうですよ」
「・・・そうなの」
「警察にストーカー被害を訴えても、まともに取り合ってくれない事もあるそうですよ」
「・・・・・・」
「人間は人を愛すると奇怪な行動をとりますね」
「・・・・・・」
「人間も見ようによれば、恐ろしい生き物ですよね」
「・・・・・・」
相手をするのが面倒で無視していたアリスだったが、あんまりイオンがしつこいので溜息をはきながら本を閉じるとそこで初めてイオンを見た。
「・・・貴方、さっきから何なの?」
「いえ、ただの世間話でございますよ」
「・・・・・・」
ニコッと笑いながら言ったイオンを眉を寄せてアリスは暫く見ると、クルッと踵をかえして歩きだした。