アリス図書館‡QUEEN
アリスはパチンと指を鳴らし、ワインレッド色をした本を出した。
パラ・・・。
「並木遊佐、22歳。母親は2歳の時に病死、父親は20歳の頃に事故死。それからは父親の後をついで会社の社長として働く」
「・・・」
「父親が健在の頃、経営している遊園地で当時騒がせた『少女失踪事件』。警察が必死に捜索したにもかかわらず、見つかる事はなかった。そして今も見つかってはいない」
パタン、と息をはいてアリスは本を閉じた。
「その少女、当時は6歳だったそうよ。生きてれば、紫麻くらいね」
アリスは遊佐に向かって指を指した。
「貴方、昔紫麻を誘拐して監禁していたわね。そして数年たって父親にばれた貴方は事故死に見せかけ殺した。そうでしょ?」
「・・・凄いね、そこまで調べるなんて」
「ウチの本は一級品ですから」
クスと得意気に笑ったアリスにパチパチとゆっくりとした動作で遊佐は拍手した。
顔には余裕そうに笑みを浮かべている。