アリス図書館‡QUEEN
しかし遊佐が通り過ぎる前にアリスが話しかけた。
「あら、何処に行くのかしら?」
腕を組み、アリスは不敵な笑みを浮かべながら遊佐のほうは見ずに言った。
「君達には関係ないだろ」
いらただしげに遊佐は言った。
「それが関係あるんだなぁ、これが」
「何?」
寄り掛かったまま聖夜はニヤニヤと面白そうに遊佐を見ながら言い、携帯を取り出した。
「さっき俺、匿名で警察呼んだから。もう来るよ?」
「なっ!?」
聖夜の言葉を聞いた遊佐は驚愕した。
するとどこからかパトカーのサイレン音が沢山聞こえて来た。
「来たみたいね」
「アリス様、我々もそろそろ帰りましょう」
アリスに手を差し出したイオンの手をアリスはスッととった。
「待て!」
「・・・何かしら?」
遊佐に呼び止められたアリスは遊佐は見ずに無表情で声を発した。
「紫麻から聞き出した話しでは、自由をくれという願いだった筈だ!こんな私を陥れる事までする必要があったのか!?」
「・・・あの紫麻の傷は、その痕だったのね」
伏し目がちにアリスは俯いて呟いた。
「貴方が刑務所にでも行かなきゃ、紫麻は一生貴方を恐れながら生きていかなきゃならない。それじゃあ、本当の自由なんかじゃないわ」
パトカーのが建物の前でとまり、ドアが開く音が聞こえて来た。
「騒がしくなってきたわね。それじゃ、さようなら」
アリスがそう言ったらその場からはアリスとイオンと聖夜の姿が消え、遊佐だけが残った。