アリス図書館‡QUEEN
紫麻が着いた先は一軒の家だった。
和風な平家の家に見覚えのない紫麻はチャイムをならすべきかどうか迷ったが意を決し鳴らした。
ガララッ
「はい、どちらさま・・・」
出て来たのは40代半ばの女性だった。
「あ、その、えっと・・・」
ただ言われて来ただけの紫麻は、何を言えばいいのかわからず俯いてしまった。
だが、直ぐに顔をあげることになる。
「し・・・・・・ま・・・?」
「え?」
自身の名前が呼ばれ紫麻はバッと顔をあげた。
女性は震える口を動かし
「貴女、紫麻よね・・・?」
紫麻は信じられないといった感じに目を見開いた。
「お、母さん?」
紫麻がそう呟くと女性−紫麻のお母さんはバッと紫麻を抱きしめた。
「よかった・・・!無事で、生きててくれて!」
紫麻のお母さんは涙を流しながら紫麻を強く、存在を確かめるかのように抱きしめた。
「お母さん・・・」
紫麻はゆっくりと自身の母親の背中に腕をまわした。
「何・・・?」
優しい声で紫麻のお母さんは問いかけた。
その声に紫麻は瞳から沢山の大粒の涙を流した。
「お、お母さんっ!」
「紫麻、おかえり!」
「た、ただいま、っ!」
紫麻は再び家族の元に帰る事ができたのだ。