アリス図書館‡QUEEN



その本は、所々日にやけ年期のはいった茶色の本だった。





「・・・それ、何処から見つけた?」





「え、これは私の部屋に置いてあったのよ。イオンが持ってきたんじゃないの?」






不思議そうにアリスは本を顔の横にやって言った。




イオンはじっとそれを見ていた。






「それ、まだ保管しておくの?」





「・・・そうね。まだこの持ち主、死んだわけじゃないし」






少し考えた後アリスは言った。




「・・・やっぱり―シャララ






イオンが呟いたと同時に軽やかな清んだ鈴の音が響いた。





「・・・お客様、ね」






アリスはそういうと椅子から立ち上がり、本をイオンに渡した。




「私は司書だけれども、図書館は貴方のものだから、その本をどうするかは貴方が決めなさい」





歩きながらアリスはイオンに言った。













イオンは暫く、その本を見つめていた。





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