アリス図書館‡QUEEN
案内されたところは個室だった。
淡いクリーム色で作られた部屋にはソファーとテーブル・・・ではなく、なぜか店内にもあった椅子とテーブルだった。
他には観葉植物にグランドピアノが。
「李兎!連れて来たよ!」
少女はカウンターに向かって叫んだ。するとそこからヒョコッと一人の男性が現れた。
アリスよりも五、六歳は年上だろうか、黒髪の優しげな面持ちの人だ。
「ああ、貴女がアリスさんですか」
ニコッと笑いながら男はアリス達に近づいて来た。
「そうですが、貴方は?」
「愛澤李兎です。紅葉(クレハ)を助けていただき、ありがとうございます」
「美山紅葉です!本当にありがとう!」
李兎の隣に並びニパッと笑い紅葉はお辞儀した。
「・・・はあ、」
今度は溜め息ではなく、尋ねるような、それで?といった感じの声だった。
「アリスさん!ケーキ食べてって!」
「・・・なんで」
「お礼だよ!さぁ座って座って!」
半ば無理矢理アリスを座らせ、カウンターからラズベリーやキイチゴ等がのったチーズケーキをもってきた。
「どうぞ、食べてください」
ニコニコと笑顔を向けながら紅葉はアリスの向かい側に座った。
アリスはじっとケーキをみると、もうなんどめかわからない溜め息を小さくはいてフォークをてにとった。
口に入れると、甘いチーズケーキに爽やかな酸味がほど好い味が広がった。
「美味しいわね」
フッと小さくアリスは笑った。