アリス図書館‡QUEEN



静は真っすぐに前を何にも感じ取れない表情でみたまま口を開いた。






「・・・私がこっちに戻って来たのは先週。その間は友達に家を貸してたの。そしたら、私が家を離れてから次の日に手紙が来てたの。裕紀から・・・」



「堂本さんから・・・ですか?」



「そ。慌てて中を見たら、一枚のDVDと一言書かれた紙切れ。紙切れには、ごめんって裕紀の字でかかれてた」



「・・・・・・」



「DVDには李兎と裕紀のやり取りがあった。李兎、裏で麻薬入のお菓子作って売買してたみたい。裕紀はそれをやめるように説得してた。『警察には言わないからもうやめろ』ってね」



「嘘・・・」






李兎の真実を聞いた紅葉は驚きに目を見開いた。

ちらっと静は紅葉を見てまた話し出す。






「李兎はわかったって言ったわ。その後ケーキをあげて、裕紀はそれを食べて店から帰った。右下にはちゃんと日付時間と共にあったから、だいたいピッタリ。裕紀はここに来る途中で死んだ・・・」



「静さん、もしかして」



「・・・直接見たわけじゃないけど、爆発があったのは見えた。それが裕紀だなんて、夢にも思わなかったけど」



「・・・・・・静さん・・・」







なんて声をかければいいかわからず、ただ紅葉は静の名前を呼んだ。



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