アリス図書館‡QUEEN
――パチンッ
――ドシャッ!
「っ!?何?」
鈍い潰れたような音がした。
慌てて外に出て静はその光景を見て言葉をなくした。
「・・・く、れは・・・ちゃん・・・?」
頭から血を流して俯せに倒れているのは先程まで一緒にいた紅葉だった。
傍らには弦が切れ折れたバイオリンが。
「なんで・・・」
背後にやってきたアリスに震える声で静は尋ねた。
「貴女が大切にしているのは紅葉。その命が今回の代償にはピッタリだった。それだけの事よ」
「だからってこんな」
「言ったでしょう?命は重いって。貴女はこの事を誰にも言う事は出来ない。自分一人で一生この罪を背負いなさい」
自分の復讐で一人の少女の命を奪った。
それは誰にも言う事は出来ず、ずっと溜め込んで生きていく。
静は鳴咽をもらしながら泣いた。
「一つ言っておくわ。貴女にDVDを送ったのはウチの者よ。堂本裕紀に頼まれてね」
「ッ、ゥ、あ・・・」
「・・・アリス、救急車と警察呼んだけど」
聖夜がひかえめに携帯を閉じながらアリスに言った。
「そ。貴女は何があっても紅葉を殺したとは思われないから」
さようなら、と言ってアリスは踵をかえした。
「ッ、うわあああああ!!!」
本格的に泣き出した静を見て聖夜は顔を泣き出しそうに歪めアリスの後を追った。
「アリス・・・」
アリスは聖夜の呼びかけには答えず背後に静の泣き声を聴きながら海を見た。
「静、貴女の結末は【Regret End】。
復讐に身を委ね大切な者を失った者は、後悔の中生きていく」
後ろから聞いた聖夜はもう一度静を見た。