アリス図書館‡QUEEN
コツコツと靴音を鳴らしながらアリスは本棚の迷路のような図書室を見回っていた。
「あら・・・」
奥のほうの本棚にきたとき、ある場所でアリスは立ち止まった。
5センチ程の本と本との間に出来た隙間に人差し指をあてた。
「そう、やっぱり持って行ったのね・・・」
呆れたように溜息をはいたアリス。
「わかっていただろう?」
「!?・・・イオン」
振り向けば、イオンが本棚に寄り掛かって立っていた。
「貴方ってホントに神出鬼没なのね」
はあっとあからさまな溜息をはいてアリスはイオンを見た。
「アリス、黒の本を読んだんだろ?だったらわかっていたはずだけど」
口元に笑みを浮かべてはいるが、目は真剣だ。
「核心はなかったわよ。貴方にもわかるでしょう?あの本の性格」
まあね、とクスクスと笑うイオン。
「これから何が起こるのかな?アリスは楽しみなみたいだね」
「まさか。面倒事は嫌いよ。
まあ、暇つぶしぐらいにはなると思ってはいるわ」
「アリスがどう対応するのか、楽しみにしているから」
愉しそうにニコニコとしながらイオンは言った。
「他人事だと思って・・・」
ムッとしながらアリスが言えば、イオンは急に真面目な顔に。
「アリス、今回は前回とは違って一筋縄ではいかない。そこんとこわかってる?」
「わかってるわよ」
でも、とアリスは続けた。
「所詮は本のお遊び」
妖笑に微笑めば、アリスはイオンの横をすりぬけてまた奥のほうへと。