アリス図書館‡QUEEN
美麗の部屋へと行った二人はお菓子を食べながら談笑していた。
「・・・あのね、美麗」
今まで笑っていた憂が急に真顔になって口を開いた。
「・・・私の家、再婚するの」
「えっ?」
憂の家は憂が幼い頃に母親が病気で亡くなっていた。
「それでね、私、来週にはフランスに引っ越すの・・・」
「!?ヤ、やだよ!なんでっ!?」
「再婚相手・・・佳奈可さんっていうんだけど、ピアノの調教師では有名な人なの。
今までは日本で仕事をしていたけど、次の仕事現場がフランスなの」
俯き加減で話す憂を茫然と見る美麗。
「・・・やだよ。憂と離れるなんてそんなの・・・」
「私だってやだよっ!
でも、仕方ないんだもん・・・」
ぐっと下唇を噛み締めて俯いてしまった。
ガララッ−
静かになった部屋に玄関を開ける音が響いた。
「おばさま、帰ってきたみたいだね。そろそろ私も帰るね」
鞄とコートを持って一階へと行った憂。
そのあとを無言でついていく美麗。
「あら憂ちゃん!遊びに来ていたの?」
着物姿の気品漂う女性が立っていた。
「ハイ。でももう帰ります。お邪魔しました」
「あらそう?今度は私がいるときに来てね?待ってるわ」
残念そうに美麗のママがいうと微笑みながら軽くお辞儀をして帰って行った。