アリス図書館‡QUEEN



コンビニまで行くことにした憂は、調度美麗の家の前を通った。


今すぐにでも訪ねたい衝動に駆られたが、もう遅い時間に訪ねるのは失礼だ。



明日また話そうと思いそのままあとにした。




「アレ?」



あとにしようとしたが、何か違和感を感じた憂は足をとめた。


視線は美麗の家ではなくその向かい側。




「此処って、確か家があったきが・・・」



憂が向けた視線の先には家は建っておらず、空き地が広がっていた。

しかし、現に家はないわけで、憂はきのせいと思い今度こそそのまま足を進めた。





「あ、また雨が・・・」



憂は念のために持ってきていた傘をひろげた。




「雨・・・やだな。今みたいな最悪の時に雨が降らないでよ」



空を見上げて呟いた憂は、角を曲がろうとした。




「キャッ、あっ!」




その時いきなりの突風に傘が飛ばされてしまった。

そのまま転がっていってしまい、先のほうでとまった。




「は、早くとらなくちゃ」



また風が吹けばさらに遠くへいってしまう。


小走りで取りに行った憂が傘に手をのばし、傘をとって何気なしに右手にある建物を見た。




「・・・え、此処って」



視線に入った玄関にぶら下がったフレームを見て、憂は目を見開いた。




「・・・」




濡れるのもきにせず傘をコトンと落とすと階段をのぼり扉に手をかけた。





ギィィ−



音を起てて開いた扉。

そのさきには一人の少女が立っていた。




「ようこそ、アリス図書館ヘ。
待っていたわよ金倉憂」





迎えたのはアリスだった−。
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