初恋をもう一度。

恭平はとりあえず、昨日唯と鉢合わせした交差点で待つ事にした。

時刻は既に7時を回っており、今日も会えるかどうかは判らなかった。もしかしたら少し前に電車に乗ったかも分からない。

それに―


恭平は不安だった。

もしかしたら唯が冗談でも何でもなく、自分の事を忘れてしまっているのではないかと感じたからだ。それは昨日、彼女と接した時、直感的に捉えた感覚だった。


自分からそう感じたと話さなければ、泉に指摘されると思っていた。しかしそれはなかった。

気付かないふりをして、人から言われるのを期待していた自分がいたが、「まさかそんな事は」と怯えているのも、どこかで自覚していた。


その時、前方に彼女の姿が見えた。

恭平は一瞬、声をかけるか戸惑った。いずれで良いんじゃないだろうか、今日確かめる必要も無いんじゃないだろうか―。


唾を飲み込むと恭平は駆け寄った。
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