初恋をもう一度。
「会った…さっき…」
「声かけたのか」
「…」
「ふられたか??」
「…いや」
言葉を区切ると、一旦、唾を飲み込んだ。喉の乾きを覚えた。
「…忘れてた、俺のこと。…いや、覚えてた、俺のことは」
「落ち着け」
そう言うと、泉は自分が昼に飲む為に持っていた缶コーヒーを開け、彼の机の上に出した。
喉が潤う程度を口にすると、額の汗を拭った。
それでも正しい語順がなかなか浮かんでこない。
「…俺のことは、覚えてた…でも」
恭平はため息をつく。
「…でも、付き合ってた頃のこととか、それで…そのあと別れたのとかは全部…忘れてた…」
「…過去に付き合ってた事は話したのか??」
「いや…」
少しずつ落ち着きを取り戻してくると、恭平は今朝のことを打ち明けた。