初恋をもう一度。
きっかけ
誰かが言った
恭平と唯は本当に似合ってるよね―。
彼女はどちらかと言えば控えめで、自分の意見を押し通すこともなく、いつも明るい笑顔でいた。
多少もめる事があっても、唯がごめんね、と困ったような笑顔を見せれば、許さずにはいられなかった。
すぐに感情的になる恭平と、それを鎮めることのできる唯は確かに理想そのものだったかもしれない。
今日は本来なら部活だが、さすがに行けなかった。
気付くと、教室には泉を除いて誰もいなかった。
彼は「無理するなよ」とだけ言った。確か校門あたりまでは一緒にいた気がする。
今はただ1人、足を擦るように帰路を辿っている。