初恋をもう一度。
―22時
恭平は先程のことを反芻していた。
何よりまず、自分の家の前まで彼女が来た事が信じられなかった。
まだ彼女は自分に気があるのかと一瞬考えたが、それはないのだとすぐに思い直した。
唯には自分との記憶はないのだと、意識していなければつい忘れてしまうくらい、彼女には病的な雰囲気が全くなかったからだ。
連絡先を入手できた事は、手放しに喜べる事でもなかった。
自分なりの後ろめたさのようなものがあったし、どうするべきか判らない。
しかし―
単純に友達として、彼女が今現在、どのような生活を送っているのか…それをメールを通じて確認する事ができれば、心は逆に軽くなるのではないか。
迷っていたら、いつまでもこの思いに捉われてしまう。
恭平はメールを書き始めた。