初恋をもう一度。
気まずい沈黙。
「…あ、着替えますよね。…ユニフォーム、洗濯してありますよ」
そう言うと河音は綺麗に畳んだ青と白のユニフォームを渡してきた。
「…ありがとう」
その声にもやはり感情や覇気はなかった。それは相手に伝わってしまう程に。
「…先輩、無理しないでくださいね。あ、このあと飲み物も持っていきますから」
「お前…」
「はい…??」
「マネージャーなんて、どうしてやろうと思った??サッカーが好きなようには見えねえな。男の世話焼いて、それで楽しいか??」
「え…」
「母親みたいな事して…偉いだのなんだのってちやほやされたいだけだろ…っ」
最後にははき捨てるような口調になっていた。声自体は決して大きくはなかったが。
彼女は言葉を失った様子で何も言い返してはこない。
言ってはいけない事を、思っても言ってはいけない事を今、自分は言ってしまったのだという後悔が沸き上がった。
本当はそんな風にしか思えない自分が嫌で仕方がないのに。