初恋をもう一度。
―朝 10:30
ふんわりと白く、暖かい。
明るい。こんな気分…いつ以来だろうか。
夢を見た。
唯の声が聞こえて、すると一面、満開の桜。光が射して恍惚とした。
だけど最後まで彼女の姿はなかった。
「唯…」
付き合い始めた頃、2人で花見に行った記憶が甦る。
夢から覚めると、唯を花見に連れて行ってやりたいと思った。
しかし4月と言ってももう中旬…大体は散ってしまっているだろうか…。
昨日は結局、メールを返してすぐに眠ってしまったのだった。
ケータイを開くと、昨日の日付で唯から返信がきていた。
―部活、久しぶりだったんだ?お疲れさま☆明日は土曜だけど、練習とかあるの??―
土曜…
「…誘ってみるか」
恭平はメールを書いた。
―おはよ。起きてメール見た。今日は部活ないよ。唯は―
そこまで書いて、手を止めた。
どうせならメールじゃなく、電話をした方が話が早いんじゃないか―。