初恋をもう一度。
そう思った次の瞬間には電話帳を開いて、通話ボタンを押していた。
トゥルルルルルルル…トゥルルルルルルル…
胸が高鳴る。
トゥルルルルルルル…トゥルルッ
「は、はい、もしもし」
唯が出た。
「恭平くん??」
「ああ、…唯」
「どうしたの??」
彼女の声はいつものように明るく、受話器の向こうで笑顔で話しているのが分かる。
「あ…の、寝てたか??」
「ううん、さっき起きたところだよ」
「そうか…。なぁ、今日はお前…何か予定とかあるのか??」
「んー…後でちょっと用事で出ようかなぁって思ってるけど??」
「あぁ、いや、そんならまた。…もしあれだったら…あ…の、あれしようかと思って」
「あれ、ばっかりじゃよく分かんないよ~!!!」
唯の受話器ごしにこぼす笑い声に、恭平の緊張でかたくなっていた顔が緩む。
「いや、だから…もし時間あるなら…どっか行かないかと思って」
「どこか??私、ちょっとお花見にいくから、その後でも良ければ…」
「は、花見…??」
「え??いや、お花屋さん!!!お店にいくの。さすがにもうこの辺りは咲いてないよ~」
「…花屋か」
「恭平くんてお花、興味あるの??」
「え!!?いや、別に…」
「あははっ、一緒にいく??」
「あー…じゃあ…いくか」
結局、13:00に駅前での待ち合わせが決まると電話を切った。