初恋をもう一度。
1番、気温の上がる時間が14時だとすれば、今日は明らかに温かい日だ。
唯はさっきまで優しいピンクのカーディガンをはおっていた。
今はそれを脱いで、パフ袖が可愛い、薄いグレー地に小花柄のワンピースを着ている。
「その服、似合ってんな。お前に」
ふいに出た言葉だった。
「そ、そう??うれしい。…お気に入りなのっ」
唯は少し恥ずかしそうに笑う。
「…そういえば、さっき電話びっくりしたよ」
「あ、ああ。ごめんな、急にかけて」
「ううん、それは良いんだけど…。確かにお花見って聞こえるよね」
「ああ…今年は花見、行ったのか??」
「うん、友達とね」
友達―
その漠然とした言葉に、自分以外の異性が含まれているのだろうか…。
恭平は一瞬、そう考えてしまっている自分に気付いた。
「恭平くんは??どこかに見に行った??」
「いや、俺は…。男同士で行くのもあれだしな」
「あはは、あれかぁ。ま、確かにそうだね」
言葉選びに困ると、すぐに「あれ」を乱用するのが恭平の癖で、以前の唯はそれを知っていた。
「…こうやって、知ってくんだな、また。」
「え??」
それはやはり、恭平を少しばかり寂しい気持ちにさせた。