初恋をもう一度。
それでもまた知り合える。
こんな機会が巡ってきたのは偶然だろうか―。
運命なんて大それたものじゃなくてもいい。ただ、続く限り、またお互いの事を新しく知り合っていきたい。
恭平はそう思う。
「恭平くん??」
「ん??」
「どしたの??ぼーっとして」
「いや、…それよりあれだな。恭平って呼びにくくないか」
「うーん、字で見るより呼びやすいよ」
「え、字??」
「字で書くと長い感じするけど、声に出して呼んでみるとそうでもないよ」
「あー…ま、確かにな。でも何となく…落ち着かないんだよな」
恭平は恥ずかしくなって、唯とは逆の方に顔を向けている。
「…あぁ、そういえば…この前言ってたよね。やっぱり恭くんて呼んだ方がいいかな??」
「まぁ…その方がしっくりくるっちゃくるよな」
恭平が照れているのに気付いた様子で、唯がくすっと笑う。
「な…なんだよ」
2人の距離は昔と変わらないままだった。