初恋をもう一度。
授業が一通り終わると、今日もまた一足遅れて部活に出向いた。
そういえば、あれ以来マネージャーの河音に会っていない。昨日も部活動自体はあったが…。
更衣室の扉を開けると、そこに居たのは一矢だった。睨むような目付きで恭平の方を向く。
「おい」
「…なんだよ」
「お前、河音に変なこと言ったろ」
「…本人から聞いたか??」
「いや、この前、練習中にタオルを取りに戻った時…偶然聞いた」
「…そうか」
「お前、最近変じゃねえか??どうしたんだよ」
恭平は一瞬、言うか言わまいか迷った。
「…あいつに会ったんだ。唯に。」
「唯って…前に付き合ってた里見唯か??」
「ああ。…色々思い出して…八つ当たりした。悪かった」
恭平はうつむいた。
「…それならな、本人に言え。お前、唯と付き合ってたんなら解るだろ。河音もあいつと似たタイプなんだよ。傷つくことだって…あんだよ」
そう言うと一矢はグラウンドに出ていった。
今日も最後まで河音の姿は見当たらなかった。