初恋をもう一度。
「なんか…向こうのお母さんがそうだって言ってて、誠くんも、そう思ってる…って」
唯の母親が―。
以前、一矢と帰宅途中に会った際、まるで恭平はその場にいないような扱いを受けた。
その後で、一瞬睨んできたように錯覚したが…。
あれは錯覚ではなかったようだ。
「お兄ちゃんが何かしたの…??」
妹相手にこういう類いの話は、正直したくはない。
しかし今、変に誤解を招くようなはぐらかし方もできない…。