初恋をもう一度。
河音はどうしているだろうか。やはり落ち込んでいるだろうか…。
何にしても、傷つけてしまったのは事実だ。
今日は部活はない。
「…あいつ、どのクラスだ?」
1クラスずつ訊いて回るのも気が引ける。
もしかしたらという望みをかけて、帰りに更衣室へ寄った。
いた―
ちょうど河音涼子1人だった。
「佐野先輩…自主トレですか??」
「いや…河音が、その…いるかと思って」
「…私…ですか??」
彼女は何も気にしていない様子でいる。
「ああ。この前…悪かった。勝手なこと言い過ぎた。ごめんな」
恭平は頭を下げようか迷ったが、うつむくような姿勢になっただけだった。
「…もう気にしてないですって!いいですよ。それより…」
恭平は顔を上げた。
「先輩、喉乾いてますね??私、ちゃんと選手のコンディションとか…気に掛けてるつもりですから、これでも」
そう言って、ドリンクを手渡してきた。
「何を…そんなに悩んでるんですか??唯さんのことで」
「…一矢から聞いたのか…」
「一矢先輩は口軽いですからねぇ~。あんまり秘密話したらダメです」
軽く笑うと、河音は落ち着いた表情に変わった。