初恋をもう一度。
夜になって、眠ろうにもなかなか寝つけなかった。
眠気はある。
しかし、やり残した事をやるんだ―と急き立てられるようにして、恭平はケータイに手を伸ばした。
唯の番号にかける。
すると8回目が鳴ったところで、向こうが電話に出た…。
「はい…もしもし」
「…唯、俺。…今、電話いいか??」
「…うん」
心なしか声に元気がない。
「…何かあったのか??」
「どうして??」
「いつもと、声が違う…元気じゃないように聞こえる」
「いつもって…この頃会ったの3回だけだよ??」
少し声がほころんだように聞こえる。
「はは、そうだなぁ」
「うん。…どうしたの??」
「ん、ああ…メール返事なかったから、その…、何かあったかと思って…心配で」
「…ごめんね。ちょっと色々あって…疲れちゃって」
「…大丈夫か??」
「…えっ??…う、うん」
「次の土日とか、また気分転換にどっか行くか??」
「…そうだね、土曜の午後なら」
「唯、行きたいとこある??」
唯はしばらくの沈黙の後に答えた。
「遊園地…遊園地に行きたい、私」
「遊園地??」
正直なところ恭平は、遊園地のような人ごみが苦手だった。
以前、唯はそんな恭平を気遣って、遊園地に行きたいと強くは言ってこなかった。
「…だめ??」
「いや、いいけど…お前、疲れてるんじゃないのか??」
「大丈夫、行きたい」