初恋をもう一度。
理由
―金曜の放課後
あれから数日が過ぎた。
泉は、休んだ次の日には登校してきた。理由はただの風邪だと言った。
「ついに明日か…」
靴箱に向かう途中で泉が呟いた。
「ああ。…でもあいつ、来るかわかんねぇ」
「どうしてそう思う??」
「…なんとなく」
「お前のその直感は過去においてアテになった事があるのか??」
「…言われてみるとそうでも…」
「だったら考えるだけ無駄だな。結論の判らない事を本気で考え出すと脳に多大な負荷がかかって、新しく別の事を考える際のリソースが…」
「ああああ!!!解ってんよっ!!!」
恭平は、泉の理論的な話を遮るように大きな声をあげた。
泉は少し不満そうな表情を見せたが、すぐに普段の無表情な顔に戻った。
もちろん、そのような小難しい話を、恭平は全く理解などしていない。
「…それでも不安なんだよ」
「そうだな」
泉が同調してきた。