初恋をもう一度。
「あ~っ、佐野先輩!!!」
靴箱から靴を取り出した時、聞き慣れた声がした。
「なんだ、お前か」
「なんだって事ないじゃないですかぁ」
泉は状況を伺うように、目を細めた。
「あっ、私、サッカー部のマネージャーで河音涼子といいます!!!」
「…なるほど、マネージャーか」
「はいっ」
「ああ。こいつは泉。…翔太」
「まぁ、よろしく」
「は、はい…こちらこそ!!!」
靴を履き替え、3人共、校門の方向に歩きだす。
「あ…、もしかしてこの前言ってた相談してる人って泉先輩ですかっ??」
「おい…」
言うなよ―という気持ちが少しばかり表面に出た。
「相談…まぁそうだな」
「やっぱり~」
今日の河音はやたらと明るく、にやにやしている。
「…じゃあ俺はこっちだからな」
校門に差し掛かると、泉は2人とは反対方向に歩きだした。
「佐野、月曜の朝、早くくるから話聞かせろよ」
「ん、ああ…」
じゃあな、と言うと泉は行ってしまった。