初恋をもう一度。


「じゃ、行きますか」

河音が先に歩きだした。

「…ああ」

「それにしても…」

彼女は振り返ると、顔が赤らんでいた。


「泉先輩って、かっこいいですね…」

「…お前、ああいうの好みか。どおりで…」

「えっ!!?どおりで…何ですか!?」

「顔にも態度にも出てんだろーが、露骨に」

「う、嘘!!!」

両手を頬にやっている姿が唯と重なった。

「一目惚れか??」

「…かも」

「ははっ、まぁ悪いやつじゃねえよ、あいつは」

「ふ、ふーん…」

「付き合うとかなったら、それなりに大変だろうけどな…」

「付き合うかぁ…。私、実は一矢先輩に告白されたんです…」

「は??いつ」

「うーん…火曜??あ、佐野先輩が偶然、更衣室にきた日です!!!あの前に呼び出されて…言われてたんですよね…」

「あー…そっか」

あの日、どうして部活もないのに更衣室に河音がいたのか気になっていたが、やっと理由が判明した。
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