初恋をもう一度。
泉翔太は典型的なインテリ人間でとっつきにくく、初めは恭平も冗談じゃないが仲良くはなれないだろうと感じていた。
しかし偶然、席が前後になってからというもの、面白いように打ち解けていった。
困ったことがあれば、すぐに適切な答えを示してくれたし、口調は淡々としているが、思っていたよりも冷たい人間ではないことを知った。
当初、周りもそんな2人を見て意外だと噂したが、最近では対照的な性格が逆に合っているんじゃないか、というような見方をされるようにもなっている。
「好きなのか??」
「え!?」
「まだ好きなのか??里見さんのことは」
「…まぁ、そんな、あいつ自体を嫌いで別れたって訳でもねぇし…嫌いってよりは、嫌になったって感じだよな」
「それはどう違うんだ??」
「え?あー…んーと…」
「要するに彼女がどうというよりは、状態が嫌になったんだな」
「そう!!!それだ!!!…っつかお前、解ってるならわざわざ訊くんじゃねえよっ」
恭平をからかうのが習慣の泉は楽しそうに笑う。
「まぁ、それなら可能性あるよな」
「か、可能性??」
始業のベルが声を遮った。
「…まぁいい」