初恋をもう一度。
その後、いくつかのアトラクションを楽しむと、園内の土産屋に寄った。
「こういう店って何で、遊園地と関係なさそうなモン多いんだろ…」
恭平は、棚に陳列されたキャラクターもののレトルトカレーの箱を手に取った。
「しーっ!そういう事、お店で言っちゃダメだよ~」
そう言いながらも唯は楽しそうにしている。
「あ…」
「どした??」
唯は小さなメリーゴーランドの置物を手にとった。
「ん、なんか裏に回すとこついてんな」
つまみを回してから屋根を開くと、中がアクセサリーボックスの作りになっていて、音楽が流れた。
「オルゴールか…」
「綺麗なワルツだね…」
屋根の蓋を開けている間はオルゴールが鳴って、メリーゴーランドが回る仕組みになっている。
その舞うような回転に、キラキラとした塗装が輝いて、夜のイルミネーションのようだ。
「これいいなぁ」
「買うか??」
「うん…買っちゃおうかな。恭くんは何か欲しいのあった??」
「いや、俺は特に」
「そっかぁ、お菓子とかおうちに買って行ったら??」
「…そうだな、せっかくだしな」
恭平は近くにあったタルトと、唯の持っていたオルゴールを手に取るとレジに向かった。
「えっ、恭くん!??」
「ん??ああ、プレゼント。…4月2日、誕生日だったろ。遅くなったけどな」
「覚えててくれてたの…??」
囁くようなその声は恭平に届かなかった。
唯は恭平の背中を眺めていた。