初恋をもう一度。
土産屋から出ると、既に陽は沈みかけていた。
今日という日は、もう2度と戻ってはこないのだと恭平に言い聞かせるように光をたたえている。
「あ…」
夕刻を告げる、音楽が鳴り響く。
「…これ、さっきのオルゴールと同じ曲じゃない??」
「だな」
それは今までに聴いたことのない、優雅でどこかもの悲しいメロディーだった。
「もう少しで閉園だな…。観覧車は乗るだろ??」
「うん、そろそろいこっか」
観覧車乗り場には誰もいなく、2人はすぐにその小さな箱の中に入っていった。
ガチャン、と音を立てて扉が閉められた。