初恋をもう一度。
閉園ワルツ
だんだんと動き出す景色。
向かい合わせに座った、唯の目線の先には落日。
「恭平くん」
「…ん??」
「今日はありがとうね、すごく楽しかった」
「…俺も楽しかったよ」
恭平は全て言うつもりだった。
過去に付き合っていたこと、唯の記憶が無くなったのは自分のせいかもしれないこと。そして―
今も好きだと。
しかし受け入れてもらえなければ、もう2度とは会えなくなるくらい、関係は崩れてしまうのだろう。
そして、言わなければ…早い段階で言わなければ彼女を裏切り、騙しているという罪悪感にも苛まれる。
この大きな観覧車の中で、こんなにも暗く重たい感情で乗り込んだ人間が、一体どのくらいいるだろう。
「あ、あのな…唯」
唯が窓の外から視線を恭平に移す。