初恋をもう一度。
―放課後
「きょーへー!!!おいっ!!!」
なんとなく意識が現実に向かないまま校舎を出ると、グラウンドの方から聞き慣れた声が聞こえた。
同じサッカー部に在籍する杉本一矢―すぎもと いちや―だ。
彼とは小学校は違ったが、同じ地元のサッカークラブに入っており、中学で一緒になった。
もちろん同じサッカー部に入り、それなりに親しかった。
今日は部活はないが、熱心な部員は残って自主トレに励んでいる。
「お前もこいよー」
「わりぃ、今日すっげぇ疲れてんだ」
「お前いた方が張り合い出んだよ」
珍しく早起きしただけあって疲れ気味だった恭平だが、その言葉にあっさり負けてしまった。
結局、帰路についたのはほとんど陽がなくなってからだった。