初恋をもう一度。

―放課後


「きょーへー!!!おいっ!!!」

なんとなく意識が現実に向かないまま校舎を出ると、グラウンドの方から聞き慣れた声が聞こえた。

同じサッカー部に在籍する杉本一矢―すぎもと いちや―だ。

彼とは小学校は違ったが、同じ地元のサッカークラブに入っており、中学で一緒になった。

もちろん同じサッカー部に入り、それなりに親しかった。


今日は部活はないが、熱心な部員は残って自主トレに励んでいる。

「お前もこいよー」

「わりぃ、今日すっげぇ疲れてんだ」

「お前いた方が張り合い出んだよ」

珍しく早起きしただけあって疲れ気味だった恭平だが、その言葉にあっさり負けてしまった。

結局、帰路についたのはほとんど陽がなくなってからだった。
< 7 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop