初恋をもう一度。

「それはお母さんたちが勘違いしてるだけだよ。…あの日ね、階段から落ちて気を失ったの。しばらくしてから意識が戻ったけど、立ち上がって、そのまま動けなかった。

そしたらお母さんが来たの。帰りが遅いから心配して出てきたみたいだった。

出ていく時に、恭くんと会うって言ってあったから…私に記憶がなくなったのに気付いた時、お母さんは恭くんが私に何かしたんじゃないかって思ったんだと思う…」


突然の告白に恭平は声を失った。

自分の思い違いの裏にそんな出来事があったとは考えもしなかった。


「…そんな事…覚えてるものなのか…??」


「思い…出したの…」

今まで淡々と話していた唯が少し泣きそうな顔になった。


「い、いつ…」

「先週の土曜、恭くんと出かけて…帰ったあと」

「どうして??」

「…びっくりしちゃうよね。今日は恭くんと会ってたんだよって言ったら、お母さんたち血相変えるんだもん…」

「それで…」
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